音楽史の中のハイドン 28.プライトコップから見る当時の人気作曲家 その103-106

29.プライトコップから見る当時の人気作曲家
 (その103)プライトコップがハイドンの作品を初めて出版したのは、種々の作曲家の作品を集めて1774年に出版された6巻からなるクラヴィーアソナタと声のための小品集であった。そのとき、彼のシンフォニー第28番の第2、3楽章と、第3番の第2楽章がクラヴィーア用に編曲されて印刷された。それに続いて1787年に「チェンバロのための6曲のメヌエット hob-Ⅳ:9a)が出版されたと記録があるが、その実物は今日確認されていない。
 プライトコップがハイドン自身と直接コンタクトを取って、楽譜の出版にこぎつけたのは、1789年のことであった。それは、クラヴィーアソナタ第48番(hob-No 48)で、しかし、このときも種々の作曲家を全体に収めた「音楽の寄せ集めポプリ」 曲集の第1巻の第1曲を飾るものとしてであった。同じ巻に、シンフォニーNo.79 第3楽章なしで、またもや鍵盤楽器用に編曲されて載っている。
 (その104)1790年代になると、ハイドンの作品が全ヨーロッパ的な規模で出版される。それに引き換え、プライトコップ社は、遅れととっていた。その原因は、ライプツィヒという町が、商業都市として発展していたが、大都市ヴィーンほど、音楽の担い手がいなかったこと。地方の小都市だったために、大量印刷楽譜の販路が確保できなかったなどがある。また、当時は可動細分活字印刷を採用していた。彫版印刷に対して、遅れを取っていた。
 しかしながら同業の輩に助力を求めるために、1795年にゴッドフリート・クリストフ・ヘルテル(1763-1827)に助力を求めた。彼は当時、書籍出版行を営むパウムグルナーのところで働いていたが白羽の矢が立てられた。ヘルテルの再起あふれる打開策はいくつか特筆があるが、そりわけ歴史的にも重要な意味をもったものが、まとめて曲集の形で出版するアイデアであった。各出版社から別々に慣行されているものを「ウーヴル・コンプレート(作曲家全集)を刊行した。今日の作品全集とは異なるが、一人の作曲家が生涯に書いた全ての作品を収めたものでなく、「選集」に近いものではある。しかし一人の作品をまとめて系統的に出版する事業はこの時代に始まった。
(その105)全集の予約をすれば、何年か内に、その有名作曲家の一通りの作品がそろうという仕掛けになっていた。彼がまず1798年に手がけたのは、死後、にわかに熱烈な再認識の気運が高まりつつあったモーツァルトの作品全集であった。その内容は、ピアノソナタ、変奏曲、連弾等による多岐に及ぶはずであった。しかしその一部が実際に刊行されたものの、1808年を最後に計画倒れに及ぶ。
 そてに対してモーツァルト作品全集より1年遅れた1799年に、殆ど並行して刊行されたハイドン作品全集の場合は、目的はもっとはっきりしていた。この全集には、ピアノの絡んだ作品以外は含まれず、1806年にいたる全12巻は、ピアノのためのソナタその他の種々の作品の他には、ピアノ三重奏と歌曲を含めているだけである。ハイドン全集は、作曲者が存命中の押しも押されぬ大家であったこともあり、注目された。さらに、作曲家自身が序文を寄せている。「寄る年波と私の仕事が許すなら、私は、新しい仕事によってこの曲集を読者に、もっとよいものにするという編集者たちの願いをかなえましょう」と記述している。
(その106) この序文は、ヘルテルが起草したものであって、ハイドンは署名していただけと思われいる。実際、ハイドンとは無縁の編曲版や偽作まで含まれているので、ハイドンの署名は儀礼的であったものと思われる。モーツァルトを含めてハイドンの2つの全集は、今日、私たちが作曲家作品全集に求めるような科学的な考証を経た、信頼できる楽譜ではなかった、そのときの流通している形で拾い集めたものであった。しかししそれでも当時の人々にとっては、個々、別々にしか手に入れることができなかった人気ある大家の作品が、系統的に入手できるというのは、画期的なことであった。これらモーツァルトとハイドンの2人が、当時、既に、最も人気のあった作曲家であったことが分かる。
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
06 | 2014/07 | 08
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
フリーエリア
    follow me on Twitter
    アクセスカウンタ-
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR
    リンク
    プロフィール

    tenkichi995

    Author:tenkichi995
    FC2ブログへようこそ!ハイドン 探求。交響曲の初期から最後までで、聴き比べを中心に掲載。